うめねこ分析

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【超ざっくり解説】実践MOT入門

こんにちは、うめねこです。

 

皆さんは、MOTという言葉を聞いたことがありますでしょうか?

これまで、「学んでおくと良さそうだが、経営のやつだし余裕がないからいいや。」と放置しておりました。

しかし、うめねこの研究開発部署が潰れることになったため、反省を含めて実践MOT入門という本を買い読んで勉強してみました。

 

是非読んだ方が良いと思い、興味があるけどまずはざっくりと知りたい人向けに内容をまとめてみました。

1.MOTとは?

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MOTは、Management Of Technologyの略で日本語に訳すと技術経営となりますが、技術者に経営を教えることではありません。MOTは、研究・開発段階の製品を事業化にするときの障壁である死の谷を乗り越えるための方法です。

MBA (Master of Business Administration: 経営管理修士)と混同していたのですが、MOTは研究・開発領域で、MBAは事業化・産業化領域の手法になります。

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MOTは、研究・開発部門にいる方が学ぶべき内容です。

 

2.ハイテクとローテクを融合させる

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では、事業化に繋ぐためにどうすれば良いかと言いますと、ハイテクとローテクを融合させることが望ましいとのことです。

ここで言うハイテク・ローテクとは、技術力が高い・低いということではなく、リスクが高い・低いでの意味です。

研究・開発となるとすべてがハイリスクの技術で構成された製品を開発しがちですが、それではなかなか事業化まで行けません。自社の基盤的な技術であるローテクを活用し、ハイテク1~2割ローテク8~9割にすることで上手くいくとのことです。

そもそも自社のローテクなんて良く知らなかった。反省。。。

 

3.顧客価値を明確にする

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顧客に製品を売っていくときに、仕様書の数字を見せて「これは他社と比べて高性能・高機能な製品です。」とアピールしても顧客はその製品の価値を理解出来ません。

顧客に価値を理解してもらうためには、「こういうときにこのようなメリットがあります。」と仮設を立てて提案する必要があります。その仮説は間違ってても良く、顧客との対話でその仮説や製品仕様にフィードバックしていくことで大事です。

 

「顧客価値を探すのは営業の仕事でしょ。」と思うかもしれません。しかし、顧客との対話は、自分の製品に何が足りないか、顧客価値を最大化するためには何を重視すべきか理解する絶好の機会です。

顧客価値を明確化することで、無駄な開発要素を減らせ、開発スピードを速めることにも繋がります。

上司ではなく顧客に好まれるものを作りましょう。

 

4.市場規模を推定する

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将来、この研究・開発を行い事業化することで、どれだけの売り上げに繋がるか市場規模を推定する必要があります。

コンサル系企業に依頼してマーケットサイズを調査する方法もありますが、彼らが使っているフェルミ推定によるマーケット推定法を使うことで、自分たちでも推定することが出来ます。

あくまで推定値なので、逐次計算に使ったパラメータを修正することで真値に近づけていきましょう。

Microsoftなどの面接試験で、フェルミ推定によるマーケット推定法に関する問題が出るので、いずれ勉強しておくのも良いかも。

 

5.他企業や大学と協創する

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2と5の内容は、様々な研究・開発を行い、多くの成功・失敗を経験した著者が特に重要だと思った内容です。

下請け企業にチャレンジングな仕様要求だけを示し、お金を払ってやらせるだけではいけません。秘匿情報に繋がるためなかなか示せるものではありませんが、ロードマップを他企業や大学に示し、研究・開発の目的・目標を理解してもらうことが大事です。

下請けという見方ではダメで、同じベンチャー企業の仲間だという関係性を作りましょう。

 

6.ロードマップを作成する

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最後にロードマップの作り方です。

ロードマップとスケジュールを混同してしまいがちですが、ロードマップは未来からのバックキャスティングなので異なります。

特に重要だと思ったことは、なるべく多くの関係者とともに作成することです。それぞれの分野の技術的すり合わせも出来ますし、一緒に作れば後から文句が出なくなります。

ロードマップがダメなら、優秀な研究開発者がいてもダメ。皆が納得いくロードマップを作りましょう。